ピロリ菌について

ピロリ菌とは?

胃には強い酸である胃酸があるため通常の菌は生息できません。
しかし、ピロリ菌はウレアーゼという酵素を持っており、自分の周りにアンモニアを発生させ、胃酸から身を守り、酸性の胃の中に生息することができます。
ピロリ菌に感染すると、慢性の活動性の胃炎が起こり、萎縮性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、さらには胃がん、胃MALTリンパ腫などを引き起こすことがわかっています。

ピロリ菌の感染経路

ピロリ菌の感染経路はわかっていませんが、経口感染と考えられています。
衛生環境がピロリ菌感染に関係しており、発展途上国ではピロリ菌感染者が多く認められます。
日本でも高齢者の感染率は高いのですが、衛生環境の改善に伴い若年層の感染率は低下傾向で、10代以下の感染率は10%以下と言われています。
ピロリ菌は、ほとんどが幼児期に感染すると言われており、大人になってからの日常生活での感染はほぼないと考えられています。
ピロリ菌に感染しないためには、ピロリ菌に感染している大人から小さい子供への食べ物の口移しなどに注意が必要です。

ピロリ菌検査について

ピロリ菌の検査方法は、大きく分けて内視鏡(胃カメラ)を必要とする方法と、必要としない方法があります。

内視鏡(胃カメラ)を必要とする方法

内視鏡により胃の粘膜を採取(生検)し、その検体を用いて検査を行います。

迅速ウレアーゼ試験

ピロリ菌が持つウレアーゼが試薬内の尿素を分解してアンモニアを生じさせることを利用した方法で、短時間(約2時間)で判定することが可能。

鏡検法

採取した組織を染色し、顕微鏡下でピロリ菌を検索する方法。

培養法

採取した組織を5~7日、ピロリ菌が育ちやすい環境で育てる方法。

内視鏡を必要としない方法

尿素呼気試験

検査用の薬を服用し、服用前後の呼気(吐き出した息)を採取して調べる方法

抗体測定法

血液中や尿中のピロリ菌に対する抗体を調べる方法。

便中抗原測定法

糞便中のピロリ菌抗原を調べる方法。

治療法

ピロリ菌の除菌治療には、2種類の抗生物質と1種類の胃酸を抑える薬を1日2回、7日間続けて服用します。

治療終了後、4週間以上あけて、治療効果の判定をしますが、この1次除菌治療で70%以上の方が治療に成功します。

1次除菌治療で除菌できなかった方には、抗生剤の種類を変え、7日間治療します。
この2次除菌治療で90%以上の方が除菌に成功します。

1次除菌治療

1日2回服用(7日間)
抗生物質(2種類)
胃酸を抑える薬(1種類)

4週間以上あけます

ピロリ菌の検査

ピロリ菌がいない場合
除菌成功
1次除菌治療で70%以上の方が除菌に成功します
ピロリ菌がいる場合
2次除菌治療へ

2次除菌治療

1日2回服用(7日間)
抗生物質(2種類)※一次除菌治療の時と種類を変えます
胃酸を抑える薬(1種類)

4週間以上あけます

ピロリ菌の検査

ピロリ菌がいない場合
除菌成功
2次除菌治療で90%以上の方が除菌に成功します

除菌後は?

除菌に成功した場合胃がんのリスクは減りますが、胃がんにならないわけではありません。
多くの胃がんはピロリ菌感染による胃炎によって引き起こされますが、除菌後も胃炎はすぐに改善されません。
一度もピロリ菌に感染したことのない方と比較すると胃がんになるリスクは高いことがわかっており、胃がんの早期発見のためには、除菌後も定期的な内視鏡検査を受けることが大切です。